大野が引越ししてしまうらしい。
まずいことになった。
まだ俺、伝えてないのに。


走る


嘘だろ？！
目覚まし、壊れてたのかよ？！
まじで？！
冗談きついって！！


目覚まし時計の設定は7時。
俺が目覚めたのが8時。


はぁ？！
ありえねぇ。


昨日の夜、準備してあった服に着替える。
飯なんて、どうでもいい。
髪の毛セットと洗顔・歯磨きだけは、捨てられない。
でも今日は少し手抜きだ、チクショウ！


お願いだから！間に合ってくれよ！

家を飛び出したのが8時10分。


走れサッカー部の（自称）エース！


どうしても、伝えなきゃいけないことがあるんだ。
だから、絶対間に合え！


走れ俺！！



「大野！」

「……藤田くん？！」


うわーよかったー間に合ったー…。


出発する直前だった。
家族全員が、車に乗り込もうとしていたときだった。
ああ、間一髪でセーフだ！！よっしゃ。









……………………………………ていうかヤバイ。
家族いんじゃん。
普通に家族いるじゃん！
大野の父さんと母さんと兄さんいんじゃん。


こんなとこじゃいえねぇよ。


「どうしたの、藤田くん」

あ…いや、、その…べ、別に。


あー、大野の兄さんカッコイイし。
俺よりカッコイイし、なんかむかつく。


なんて、考えてる場合じゃーなくて。



「藤田……く…ん？」


…大野困ってるし。（そりゃ困るよなぁ普通…）


はぁ……




好きです
シンプルにそれだけを伝えよう。
そして、逃げよう。





「あ！あ、あのさぁ！！」



突然大きな声を出した俺を、大野の家族全員が見る。




「大野…さ、ん」






「何？」




よし、いけ俺！！
この気持ち、しっかり届けよう！！




「　好　き　で　･　･　し　ょ　！　」








………………あ、あれ？！
なんか、俺、間違った？！


……好きでしょ。



はぁ？！好きでしょ？！
はぁぁぁ？！俺、何やってんの？！まじで？！
うそだろ？！



大野の両親は驚いていて、
大野の兄さんは、笑いをこらえるのに必死で。
（笑うなよ！って感じだけど）

大野は誰よりも驚いて（そりゃそーだろうけどさ）

俺は1人、泣きそうになって。




「藤田くん」

「はぃ？！」



「なんで分かったの？！」




はぁ？！


「わたし、藤田くんのこと…大好き」





う　そ　だ　ろ　ー　？　





「あ…うん、ありがとう」




そして普通に答えてる俺。
わけわかんねーよ！


あーでも嬉しい。
あーでも…


大野、引っ越すんじゃん？！
うわーーー……………どうしよう。
また泣きそう。

-----------------------------FIN.
なんかやっちまった感ありあり…。　20030720

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