「もっとスピード上げろーお!」
「うるせぇよ」


   でもまだ言いません。

「ほらほら、もっと速くー!」
「お前が重いんだよ」


マイチャリキくん『タロー』にずうずうしく乗っかってる女がいます。池田です。(ちくしょう) なぜか知らないけど乗ってます。(嘘です)じゃんけんで負けました。(ちくしょう)

最初はグウ!のあとにまたグウを出すなんて池田は変です。まずグウを連続とかありえません。(ごめんなさい、負け惜しみです)


「レディーに向かって重いとはなんですか、奥田!」
「あ、いや、タローがかわいそうでつい、(もごもご)」
「タローって誰よ」
「この自転車のことに決まってんだろ!」(ちなみにタロー/独身です)(相手募集中!)
「はっ、あんた寂しい人ね」

あ!
こいつ今、馬鹿にしやがった。振り落としてやるぞ、このやろーう!

……… …でもやめときます。俺だって男です。女の子を泣かせることなんてできません。 (池田が泣くかどうかはさておき)


「奥田!」
「なんだよ」
「あんたわたしに失礼なことばっか言ってるけどねえ」
「おう」
「わたしだって案外モテるんだから!」
「うーわ!ナルシじゃん」
「ナルシとはなんですか、失礼な!」


(池田がモテることくらい、言われなくても知ってます)


「この前なんてねえ、あの山本くんに告白されたんだから!」

山本くんだよ?あの美男子の!!(自転車こぐだけでヘタレてる誰かさんとは大違い!)


…誰かさんって誰ですか。あ、俺ですか。
いやいや、自転車くらいじゃ俺は疲れねえよ!(ただ池田が重いから…)(もごもご)


「うーわ、山本も物好きだな」
「うーわ、さいてー!山本くんとわたしにあやまれーえ」
「やだ」


あやまりません。

(俺だってその物好きなうちの一人ですから)




でもまだ言いません。そんなこと、言えません。
嗚呼、このまま池田を乗せてどこか遠くまで連れて行ってしまいたい!

------------------------------------------------fin.
2ケツこわい。20031216
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