GOOD MORNING!!


た、たすけて。

早起きは三文の得だとか、誰かが言ったし、ちょっといつもよりはやく学校ついて、みんなの机の落書きとか見てまわるのもいいかなーって思ったの、ほんと、それだけで悪気はなかったし…。それなのに、全然三文の得とかそういうことはなくって、むしろ、なんかほんと、修羅場、いや、窮地におちいっちゃったわけ、ああ、どうしよう。
かみはわたしに試練を与えた。(しかも今回は、とびっきり特上のやつをね!)


教室で談笑するあいつらの会話を聞いてしまったわたしがわるいのだろうか?
否、悪いなんてことはないはずだ。
だってわたしはただいつもより10分家をはやく出てしまっただけなんだから。彼らが悪いんだ。
こんな、誰がいるかもわからないようなところで、大声で、あんな。あんな、えーと、うーんと。つまりは色恋問題やら噂話を大声で話すのだから。はっは、わたしは悪くないもんね。はっはっは。

とか言いつつも、入り口の影に隠れて動けないでいるわたしをどうにかして。
ああ、もう、何やってんのほんとにわたし。

うずくまること3分30秒。
事態を悪化させる凶悪犯人が、大声で、わたしを見下ろして、突然言った。

「何やってんの、杏奈」
「ゲ、まつこちゃん・・(なんでこんなときに…ていうか声おっき・・い)」

教室の中の男子の笑い声が一瞬にして固まったのがわかった。
わたしはどんな顔をして入ればいいの。聞いてなかったふうにすればいいの?
どうすればいいわけ、ねえ、まつこちゃん助けて…。
そんなことはおかまいなしにまつこちゃんはスタスタ教室に入ってしまう。
タイミングをはずせばわたしはそれこそ、確実に教室に入るチャンスをなくしそうで、だからもう今入るしかないわけだ、開き直るしかないわけだ。

「お、おはよ!グッモーニン、すっばらしい朝ね、あはは」
ひゃーあんたら朝はやいねえ、あーあ今日はクラスで1番だと思ったんだぁけどーウフフ。ちぇー、あ、明日はもうちとはやくこよっかなーなんてねー無理無理おきれな〜いっ!!!
…わたしは、一気に喋った。割と早口で一気に喋った。とにかく喋った。噛まなかった。(プチ拍手)
喋ってないといられない、沈黙が怖い、教室が怖い、なにこの四角い空間、めちゃくちゃ怖いじゃん…。

「…杏奈テンションおかしいよ…」
「ゲ、まつこちゃん・・(またそんなこと言って…)」

ああ、視線がいたい視線がいたい。

「おまえ、聞いてたろ、俺の話」
「あ…」
わたしを窮地に追い込んだ原因の、あの声がした。
ま、まつこちゃん。。た、たすけっ…え?!
修羅場を察したまつこちゃんはもうすでにここにいなかった。
ていうかなんていうか、男子たちの策略でいつのまにかわたしとそいつと2人になってた。
ありえない、神業。(みんな俊敏すぎる、誰一人として残っていやしない)

「聞いてたんだ」
「え、な、なんのこと、かな、あ、昨日の、テ、レビのこと?」
「ちがう」
「あれ、ま、あいいじゃん、面白かったよね、あのなんだっけ、8時からの」
「さっきの話…は、ほんとだから」
「(!!)(ほんとって何、やめて、無理、うそ、だと言って…)あそっか、宿題の話、…とか」
「ちがう」
「…(まずい、逃げられない、なんだこの真剣な目は)あの、っ」
「ちがう」
「(まだなんもいってない…のに、こいつ…)」
「俺がお前を好きだって話」
「ヲ(うわ、ちょ、直球ですか…)」
「ほんとだから」
「…ひ、149キロど真ん中ストレート…松坂並…の、か・・いぶつ…(ぼそぼそ)(大混乱中)」
「…おまえほんと面白いな」
「いや、な、なんでそんなことなるかな、わはー(こっちはちっとも面白くないよむしろ最悪だってば)(ていうかなんでそんなケロっとしてんのありえない、ほんとにありえない、どんな図太い神経もってんのあなたは!!)」
…まずい、これはまずい。まずい。まずいことになった。
野次馬のわくわくした視線がいたい。
アイツの微妙に熱を持った(ように見える)視線がいたい。
わ、たしは机に熱い視線を送ることにしよう。
えーと、まつこちゃん、た、たすけて・・・。
(彼女に助けを求めたところで、結局悪化するだろうことはわかってたけど、もうほかにわたしは頼る人がいないのです、どうか、まつこちゃん、たすけてください…)


(20040831//実際小学生のとき男子の恋話を聞いてしまったわたしは相当気まずかった…それにしてもこの主人公はひたすらバカです。「松坂並の怪物」って言わせたかったんです)
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