take it easy 5話


ホワイトデーは空けとけよ。
そんな風に健太に言われたんだけど、どうしようかなあ、この補習と課題。



「というわけで、課題が多すぎるから今日は会えないです」
「というわけでじゃねえよ。頑張ろうよ」
「だってね、会ってたら課題終わらないもん」
「気合だ気合。まじ頑張ろうよ」


だって無理だもん、間に合わないもん。
あたしが電話で言いつづけていたら、わかった30分でいいです。むしろ10分でもいいです。
課題もぼくちゃん手伝っちゃいます。なんて言われてついわかったって言ってしまった。




「僕らもうすぐ3年生ジャン」
「うん、そうだねえー困った」
「一応受験生になるわけじゃん」
「一応じゃないよね」


ぷらぷら道路を歩きながら。
なんとなく高校生っぽいこんな話題。



「受験生になると、勉強に集中するとか言って別れるカップル続出じゃん」
「うん、そうだねえ」
「でも、好きな人と別れるっつうのは逆にイライラするよね。と俺は思う」
「そうかもね」



がさごそってカバンの中から綺麗な包みを取り出して、健太はあたしにひょいっと投げた。

「ホワイトデーだからって、別にいらなかったのに」
「本当にお前はそういうことをよくもぬけぬけと言うね」
「だって」
「はいもうお前めんどくさい。何も言わないでいいです」
「…ありがと」



頭をカリカリかじって。
健太から出る白い息は空に届く前に消えていった。



「10分たっちゃったのでゴーホームね。課題がんばれよ」
「手伝ってくれないの?」
「だって字面でバレんじゃん」
「まあねー」
「足引っ張りたくないし」
「何を」
「河口の受験だよ」
「何言ってんの」



一応受験生になるわけじゃん。
そう言った健太の表情が、なんだか忘れられない日。
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20060504
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