take it easy 7話


「文化祭がめんどいんだよ」


体育祭は燃えるけどね。
健太はにやにや体育祭に闘志を燃やす。


あたしは、そのへんどうでもよくてマック内にいる周りのお客さんをぼんやり観察する。



電話で、熱にやられた健太に好きだと言われた。
でも、何かが変わったわけじゃない。
今日だって、何も変わってない。

あのこと、健太は覚えてるんだろうか。



高校生の男女の組み合わせ。
すべてが恋人同士に見える。
マックに来ているたくさんの恋人同士。
あたしたちは、違うけど。でも周りからは恋人に思われてるのかな。



恋人って、何なんだろうなあ。




「ねえねえ健太が熱にうなされた日のこと覚えてる?」
「何突然」


覚えてるけど。
今日もハンバーガーにかぶりついて健太は爽やかに笑う。
あたしは相変わらずポテトをぱくぱく。


「そう、覚えてるならいいんだけどさ」
「何?なんかあったっけ?!」
「いやいやいや、気にしないで」
「いんや、気になる気になる」


覚えてないのかもしんないな。
健太ものすごく普通だもん。

忘れよう。










…うーん。



……やっぱ忘れちゃ、だめ、な気がする。
あたしは、小学校5年に健太の気持ちを知ったとき。そして小学6年に告白されたとき。
それから高校2年で再会してからのいろいろなこと。
すべてで、健太の気持ちから、逃げているから。


最低だ。
何度思ったことか。
それなのにいつも繰り返す。




「ねえねえ、好きって何なんだろう」
「…どうしたの突然」
「好きって、どういうこと?」
「…どういうことって言われると」



なんていえばいいかわからない。
健太は困ったように言った。


じゃあ付き合うって?恋人って?友達と何が違うんだろう。
こんな中学生みたいな考えは幼稚なんだってわかるんだけど。
でも、うわべだけじゃなくて。根本的なことを考えるとあたしは何一つ成長していない。

友達と恋人の決定的な違い。
何なんだろう。



キスをしたり、しなかったり?
……キスをしたいと思うのが恋人なのかなあ。それが好きなのかなあ。

ならばあたしは、まだ、健太を好きじゃないのかなあ。
そんな風なこと、まだ健太とは考えつかない。です。


精一杯考えた答えは、結局何にもならなかった。
-----------------------fin.
20060504
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