空席 朝、チャイムが鳴ってもわたしの後ろの席の人は学校に来なかった。 遅刻かな?と思ってたけど、1時間目が始まってからも、2時間目になってからも、後ろの席の人は学校に来なかった。 ぽっかりあいた席。 わたしの後ろの席の人が大嫌いな数学の時間も、やっぱり変わらずぽっかり席はあいていた。 いつも、後ろからの視線が気になってドキドキしてた背中も、今日は一休みですっかり気が抜ける。 後ろの後ろは誰の席だったっけ? 4時間目、そろそろおなかが減ってくる授業中。 寝不足がたたって眠くなって、気づいたときは授業がもう終わりに近いときだった。 必死に黒板をうつして、教科書のページも必死にめくりなおして。 全然、きづかなかった。 「寝てたね」 だから、からかうような声が後ろから聞こえてきたときわたしは、本当に驚いて筆箱、床に落として中身ぶちまけて教科書も全部落っことして、1人であたふたして周りに呆れられてしまった。 「寝ぼけてんの?」 そう言いながら後ろの席の人は、ボールペンと消しゴムを拾ってくれた。 いつ来たんだろう?なんで気づかなかったんだろう? なんで寝てしまったんだろう? そんなことより、気の抜けた背中を見せてしまった。 背番号9の、山本くんに。 恥ずかしい。 でも、元気そうでよかった。 (山本くんってどんなひとだろう)20050718 |
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