日直日誌


「藤堂さーん」


背中をつんつくやられた。
山本くんは、わたしを呼ぶとき必ずそうする。


「なに?」
「俺、今日、日直なんだわ」
「そうなんだ」
「日誌手伝って」


欠席者誰よ。遅刻者誰よ。1時間目なんだっけ?

山本くんはわたしに聞いておきながら、結局は「ああ、あいつ休みだよな」とかなんとか1人で勝手に解決して、どんどん日誌を埋めていく。

「今日一日何かおもろいことあった?」
「無い」
「うわ、即答かよ。青春しようぜ」



メモの欄に、『藤堂が、人生おもろいことが無いと嘆いていた。僕はかわいそうだと思った。青春しなよと言ってあげた。先生も藤堂を助けてあげてください。』とすらすら書き込んだ山本くんは、わたしにそれを見せ付けてニっと笑った。

「やだ!消してよ」
「ボールペンだ、ごめん、無理」
「ちょっとー!!」




先生からのコメントで、仲が良いですねと書かれていた。
それを見たほかのクラスメイトが、「藤堂と山本ラブラブ」なんてからかうようになった。
わたしは1人で、ちがうよちがうよって否定したのに。

当の山本くんは、何も気にしていなくって。



ずるいよねえ。このひと。


(淡々と過ぎていく日常で、なんだか少しずつ仲良くなって。20060314)
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送