きらきら


たけしと、付き合うことになった。



…だけど何か変わったかな?
なんにも変わらなかったな。本当に。


なんか、なんか、なんか。
付き合うって何なんだろうとか、わたしはわからないし。
だから何か言うのも出来ないけど、でも何か、言葉にすると難しいけど。
何か。

何かちょっとだけ仲良くなったりとか、そういうのがほしいのに、なあ。




そんなことを考えながら数学の時間。
前の席のたけしは、1番前のくせに堂々と居眠りしている。

馬鹿だよねーほんと。
あ、ほら先生たけしの居眠りに気づいた。やばいやばいー!!


あーあ…たけし難しいとこ当てられてやんの。かわいそう。
わたしあんなの問題見るだけで挫折だなあ。



「おい、こいつ起こしてやれ」

先生がわたしにたけしを起こせと命令した。
たけしのことばかり考えているのがばれたような気がして、心臓がばくばくばくばく音を出す。




つんつん、とんとん、ぽんぽん、ぱんぱん。
ねえねえ、ねえ!
いくら背中をつついても叩いてもたけしは全然おきようとしない。

「たけしー起きてよー」
そう小さく言いながら立ち上がってたけしを揺さぶると、がばっとたけしは飛び起きた。



「どしたの」


寝ぼけた声で、とっても驚いた顔でたけしはわたしを見つめた。
どきどきする心を、必死に抑えて。抑えて。抑えて。



「数学。当たってる、よ」
寝てたし…起こせって言われたから…。



そう言うと、はじめてそのことに気づいたたけしはうわあとか呟いて黒板に答えを書きに行った。
そのうわあという呟きがどうにもたけしっぽくてださくって、それでもなんか憎めなくて。
わたしが笑って、みんなも笑って。
たけしは恥ずかしそうに頭をかいて。




意味不明な数学の問題、あっという間に解いちゃった。
たけしは数学が本当に得意なんだよね




寝ぼけててださくて情けなくてこんなたけしだけど、わたしにはどうしようもなくきらきら輝いて見えちゃって。
数学簡単に解いちゃうたけしがすごくきらきら輝いて見えちゃって。
なんだか少しわたしまで得意げになっちゃって。
どうしよう、なんか幸せ。


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まいちゃん、はじめて『たけし』と口に出して呼びました。たけしはそれにびっくりしてます。まいちゃん、口に出して呼び捨てにしたこと気づいてません。20060329
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