おねむ もうすぐ、期末テストがある。 わたしは、成績もテストの点数もなんだかんだ中くらいで。 中の中、まさにそれって感じ。 でも、数学は本当に駄目で下の下なんだけど。他の教科で何とかカバー。カバーっていったって、中の中。 でも、たけしは上の上。学年順位も上の上の上にいる。 たけしね、ホントに頭いいんだもん。 ずるいなー。 わたしの大嫌いな数学の宿題がいっぱい出て、『このプリント完璧にしとけばテストもできるからなー』だって。 答えを見たってなんでそうなるかがわからないのに、どうすればいいっていうんだろ。 思わず口から大きなため息。 それを聞いた先生が、「ため息ついてんなよ」ってわたしの頭をぽんぽん叩いた。 あったかい、おとなの手。 「席近いんだから、たけしに教えてもらっとけ」 先生が、わたしにそんな馬鹿なことを言ったりして。 え、いいですよ自分でやれますって咄嗟に言うと、お前にゃ無理だと即答された。 とんでもないこと言ってくれた先生を、精一杯じろっと睨んでも、先生は「がんばれよ」なんてにこやかに言って、他の子に声をかけに行ってしまった。 恥ずかしいなあ。数学なんて、だって出来ないんだもん。悲しいな。 1問目でもう早速つまずいちゃうよ。テスト嫌だなあ。 「どこがわかんないの」 落ち込んで下ばかり向いていたら、わたしの頭にたけしの声が飛んできた。 ばっと顔をあげるとたけしがわたしのプリントをじっと覗き込む。 「全部わかんないの?」 「…ぜ、ぜ、全部じゃないよ。多分どれかは解けるもん」 「じゃあどれがわかんないの」 「……わ、わかんないのが…わかんない」 涙が浮かぶ。 こんな馬鹿なこと、知られたくなかったのに。 たけしもうきっと呆れて嫌になってるよ。涙が、うかぶ。 「全部、教えればいい?」 「ううん。大丈夫」 「なんで?」 「なんとか、なると、おも、う」 「ならないよたぶん」 震えそうになる声必死に抑えるのに。 たけしにこんなかっこ悪いとこ見せたくないのに。 たけしは頭良いのに、わたしはこんな大馬鹿で。たけしはきっと頭良い子のほうが良くて。 「…ねむいの?」 俯いて、小さな声で答えるわたしを見てたけしはそう言った。 「うん、ねむい」 そう言って、わたしは机に伏せて寝たふりをした。 涙が、ばれてしまわぬように。 「そっか」 たけしはそう言ったあと、わたしの頭をぽんぽん叩いた。 たけしの手。たけしの手。 心臓が、ぎゅってなって。 「じゃあ今度教えるから」 そんな優しい声で言わないで。 -------------------- たけしーーーー!!!20060401 |
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