公園


「まい、何やってんの」
ひろしがわたしに近寄ってきた。

「なんもしてないよ」
実際、わたしはただぼーっとしていただけ。
何を考えてたかはヒミツだけどね。

「で、どうなの?」
「…何が?」
「何って、、たけしのことに決まってらあ!!」

ボッという音が自分でして、顔が一気に熱くなって赤くなったのがわかる。
ニヤニヤするひろしをじろりとにらんでも、こんな真っ赤な顔じゃまったく意味がない。

「付き合ってんだし、部活無い日くらい一緒に帰ればいいじゃん。今日とか」

と、なんだかとってもドキドキするようなことをひろしはニヤニヤしながら言った。


このあいだ、初めてたけしに名前を呼んでもらって、
まいちゃんって呼んでもらったあの日から、なんだかどうしても照れてしまって、
まともに会話すら出来ていないのに。
本当は、しゃべりたいけど。
すごく、すごく、話したい。
たけしと、話したい。



一緒に帰りたい。



言わなきゃ。


「たけし、今日、一緒に帰ろう…?」

わたしが精一杯気合を入れて言った言葉は、たけしの「あ、うん」という気の抜けた返事で報われた。


帰り道の途中にある公園に寄り道してもらって、無言でブランコに座る。
たけしも隣に座ってふうっとかなんとか言いながら、ギコギコブランコを漕ぎ出した。



へへへ。

ただ、隣にいてくれるだけでうれしい。
ふんわりした、たけしの雰囲気だけでしあわせ。

幸せ。


「ほんとはね、名前なんか、呼んでくれなくてもいいんだあ」


あのときは、ごめんね。

たけしが、そばにいてくれたらそれでいいんだあ。




ホッとした。
言いたいことを言えたこと。
隣でたけしがブランコに座っていること。
ふわふわしたたけしの存在。
ホッとした。



あたりは気づくと暗くなりはじめてきてて、
風の音が気になってきたりした。
帰り道の学生もだんだん少なくなってきて、
公園にはわたしとたけし二人だけ。



しあわせな時間だった。




「いつも、走ってくるの見てる。」


いつもいつも、朝元気に走ってくるのを見ないと、学校が始まった気がしなくて。
だから、おれは、いつも探してる。
いつも思ってる。
心のなかで。


今日だって。
いつだって。
まいちゃん来たって、思ってて。

「だから、いつもまいちゃんて、呼んでる。…心の中だけど」



…………は、はわわわわ
なんだか、たどたどしくたけしがとんでもなくうれしい言葉を言っている!!

何かを、言葉にしたいのに、なんだか胸がいっぱいになって、
なんにも頭に浮かばなくて、
ことばが頭に浮かばなくて、

ただ、うれしくて。



たけしが、すき。
からだ全体が、たけしをすきって思ってて、
どうしようもないよ。



「これからも、部活ない日は一緒に帰ろう?…まいちゃんがよければ」


たけしにそんなうれしいことを言われて、
断るわけがないよ。

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20100530
こいつら!!甘すぎてたいへん…
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