アタシはハラダがだいきらい。 すぐに人からかってくるし、すぐにアタシのことけなすし、アタシの反応見てケラケラ笑うし、なんかめちゃくちゃ人気者だし(これが1番腹が立つ)、だからアタシはハラダがだいきらい。 そばに来ないでほしい。 そう思うのに、ハラダはやっぱりアタシにちょっかい出してくる。 つよがり 「チカさあ、今日、髪の毛パンクだぜ」 「…ち、チカとか呼ぶな!!パンクとか言うな!!ファッションなわけ、ばかハラダ」 最悪最悪最悪、確かに今日はもっさりしちゃってるよ、湿気が強くてアイロンきかなかったんだもん。 昨日、乾かさないで寝ちゃったんだもん。 どんなにスプレーしても、ケープで固めても、駄目だったんだもん。 だからって、わざわざ開口一番に、言うこと?! さいあく、ばかハラダ。 「て、いうか、そばに来ないで向こういって、ハラダと同じ地域にすんでることがアタシの人生での最大の汚点だから」 「へぇ…その顔が汚点じゃないんだ…俺がお前だったら真っ先にかお」 「うっるさいなああああ!!」 最悪最悪最悪、確かにアタシはかわいくないよ、目だって標準だし、ていうかくっきり二重じゃなくて微妙な奥二重だから標準より下かもよ、鼻だって高くないしむしろ低いし、口だって色っぽくないし、肌だって荒れてるし全体的にバランスだって悪いよ、わかってるもん。 どんなに頑張ってお化粧したって、どんなにまつげカールさせたって、元が駄目だからかわいくなんてならないもん。わかってるもん。 だからって、わざわざ本人目の前に言うこと?! さいあく、ばかハラダ。 「ハラダに言われたくないし、ハラダほんとどっか引っ越せばいいのに」 「お前、たいしてかわいくもないくせにそんな性格だと男逃げるぞ。だいたいなあ、強気な性格ってのはかわいいやつがやってこそ絵になるんだから…」 「…ハ、ハラダみたいな男が寄って来るよりは誰も来ないほうがマシだよ、もうあっちいってよ!」 「おいおい、お前そんなこと言ってると一生孤独だよ?」 「あーもーうるさいうるさいうるさいよー」 最悪最悪最悪、確かにアタシはまだ誰とも付き合ったことないよ、誰からも告白だってされたことないよ、もちろん告白だってしたことないし、それっぽい雰囲気にだってなったことないし、正直男の人の目だってまともに3秒とか見てられないよ、そんなのわかってるもん。 この先もずうっとこのままなんだろうなってこともわかってる。 だからって、わざわざそんな直球で言うこと?! さいあく、ばかハラダ。 「いいよ別に、一人だっていいもん。これから、もしかしたら相手も出来るかもしれないし、アタシだって、それなりに恋するかもしれないもん。ハラダとにかくもうそばにこないで!!」 「なんだよ、お前、好きなやついないんだ」 「うっるさいなあ、もう、ほっといてよ、ばかハラ」 「おれは、おまえ好きだけど」 「ダ……」 …最悪最悪最悪、確かにアタシは馬鹿だしからかうには絶好の相手かもしれないよ、勝手にハラダの言葉に動揺して真っ赤になるアタシは滑稽だと思うよ。 だからって、そんなシャレにならない冗談、言う?! さいあく、ばかハラダ。 「ハラダ、ふざけないで、もうやだよ、もうやめてよ、あっちいってよ」 「…チカ」 「チカって呼ばないでよ、ハラダなんて最低最悪だいきらい」 「チカ、たまには俺の目見て」 「や、だ!!ハラダもうやだ、意地悪ばかり、ウソばっかり、もうやだよ」 「チカ、お前は知ってるんでしょほんとは」 「何が、もう、やだ、ほんとに、ハラダの冗談は、むかつく」 「俺がチカのこと好きだってこと、もうとっくに知ってたんでしょ」 最悪最悪最悪、知らないよ、ハラダはアタシのことからかって面白がってるってことは知ってるよ、好きだ、なんて真逆のこと言ってだまそうとしてることも知ってるよ、だからアタシはだまされない、ハラダの目も見ない、だいきらい。 「知らない知らない、ハラダはアタシをからかってるだけだし、もうやだ」 「チカは俺の気持ち知ってて、俺を避けてるから」 「そんなんほんとに知らない、もう話し掛けないでよ」 「チカ!!」 「…そ…んな、おっきな声、やめて…よ」 最悪最悪最悪、なんでそんな大声出すの。 クラス中に丸聞こえだよ。 みんなに、アタシ、笑われるよ、もうやめてよ。 さいあく、ばかハラダ。 ばかばかばかばかばかばかばかばかばか、ハラダ。 「ハラダは、うそつき。髪の毛パンクしてるアタシを好きなの?!どんなに手入れしたってもっさもさしてる髪の毛のアタシだよ!!最大の汚点だって思えるくらいの顔のアタシを好きなの?!お化粧しても、何しても、どんなに頑張っても変わんないよアタシの顔、このまんま!!誰からも好かれることなくて、全然男の人ともよく喋れないアタシを好きなの?!アタシは今までだってこれからだって誰にも好かれないよ、ずっと片思いでいいもん!!こんな馬鹿で阿呆で意地っぱりなアタシを好きなの?!好きなわけないじゃん、うそばっかり、ハラダはうそつきだよ!!だいきらい」 ハラダのおっきな手。あったかい手。 ポンってアタシのあたまの上にのせられた、優しい手。 くやしい。ばかハラダ。 「チカ、は自分が思ってるよりもずっとかわいいしずっとモテてんの。作ろうと思えばすぐに彼氏だってできちゃうよおまえ。だから、俺は、やなの。なあ、チカ。俺を見て」 「む、り、あたしはハラダみたいなのが1番嫌い」 「チカ」 ぱっと、上に向かされた顔、ハラダの顔、いやだ。 ばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばか、ハラダ。 さいあく、ばかハラダ。 「…ちがう…。バカ、なのは、アタシ」 ずうっと、見られてたことも、知ってたのに。 わざと、ハラダを避けて、たのは、アタシ。 ぜんぶ、ハラダの言うとおり、だった。 「わかんないもん、どうすればいいか、アタシは、ハラダ、とどうすればいいか、わかんなくて、アタシは、はじめてで…好きになるなんてはじめてでわかんないから、」 「うん」 「つよがるしか、できないで…」 「うん」 「…アタシはばかだから、ハラダは見る目がないよ」 「うん」 「相当、おかしな目、だよ、ばかハラダ」 「うん、なんも変わんなくていいよ。…そのまんま、がいい。」 ハラダの手は、ぽんぽんアタシの頭を優しくたたく。 簡単なことだった、ハラダが好きだってこと。 本当はわかってた、ハラダがアタシを見てること。 ずっと知りたかった。 ハラダの手のあったかさ。 -------------------------fin. 急展開な…。もっさりとかもっさの髪とか使いたかった…って、いう。20040901 |
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